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2017年05月31日

レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)

昨日の続きだ。
このシリーズ、かなり長いのでテキストは書き溜めてある
一度始めたら最後まで一気に書かないと一生放ったらかしそうなので一通りのレビューが終わるまでは連続で書いていく

Trijicon RMR RM05 9MOA(リフレックス)

レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)
レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)


ゲームでは、どうもT1よりもこちらが好きな人も多いらしい。
グリーンのトライアングル(三角形)レティクルのドットサイト。
ただし今回紹介する実機はアンバー(琥珀色)カラー、円形レティクル。

レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)


重量僅か34グラム。小型軽量のドットサイトで、近距離用のためドットのサイズは9MOAと大きめ
9MOAということは100m先でドットの大きさは約26cmになる。
レティクルの調整は1クリック1MOA。つまりレティクル調整ネジを1クリックさせるごとに100m先では約2.9cmずつドットが移動する
ボディはへこみや傷に強い超々ジュラルミンA7075 T6を更に鍛造製法で強度を高めたものになる。
こちらも価格はPS4pro 二台分ほど。
レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)

ゲームではレンズが広角でグリーンのレティクルが見やすいと好評だが実機では、これは実は一癖も二癖もあるサイト。
上記の二つと違ってこれは電池を使わない。LEDもなければ電気回路もない。じゃあどうやって光っているのか?
上面に向いたこの半透明のプラスチック、これが集光ファイバーになっている。
レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)

この外周部分から周囲の光を集めて・・・LEDに相当する部分に光を導き発光させている
そして暗闇では周囲の光を取り込むことが出来なくなるので、内蔵された放射性物質トリチウム(三重水素)がドットを発光させる仕組み。
放射性物質と聞くとヤバい感じがするし水素爆弾の原料だと書けば更にヤバい感じがするが、腕時計の夜光文字盤とかでも使われてる安全なものです。
このTrijiconというメーカーはこの集光ファイバーとトリチウムを組み合わせた発光システムのノウハウを使って後述のACOGなども製造している。

さて、集光ファイバーは銃による熱などで溶けたりしなければ使用期限はないので日中に限ればほぼ永久にバッテリー切れの心配なく使用可能。(特殊なケースとしてAKのバレル上面のレールなどに乗せて溶ける問題はあるようです)
トリチウムも半分の明るさになるまで12年半掛かるので完全に光らなくなるまでは実に25年かかる。
RMRのようなオープンタイプのミニドットサイトは各社作っているけど、普通は電池による発光がスタンダード。
しかしその最大の弱点は電子的な信頼性にあり、電気回路も小型となるので衝撃に弱く実物といえども射撃の反動で壊れることもしばしばとか。
集光ファイバーとトリチウムのシステムなら物理的に壊れなければ光らなくなる心配はない。

レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)
つまりこの人ピカピカ光るアレを投げられても本当はドットが消えるわけがない。
と、これだけ聞くと旨い話だが良いことばかりじゃない

レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)

これがRMRの実際のサイトピクチャー・・・
前述の二つに比べて青い(暗い)んですね
T1と同じくこれもレンズの内側にドットを反射させているわけだけど、実はトリチウムで発せられる光は少ない。
この小さな光を反射させ、風景とのコントラストを取るためにはかなりガッツリと入射する光の波長を削らなければいけない。
その上対物レンズが小さくなるにつれてドットサイトのコーティングは厚く、暗くなってしまう技術的制約もある。(その点でも、小型ながら非常にクリアなAimpont Microシリーズはスゴイのです)
また、明るい場所を狙いたいのに集光ファイバーが機能しないという状況もある。
まさしくこんな状況・・・
レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)

集光ファイバーは射手の上方と左右から光を取り込むので自分の身の回りが暗いとドットが暗くなり、向けている先が明るければ暗いドットは掻き消えて(ウォッシュアウト)してしまう

こんな場合はもはやトリチウムで光るドットは照準先の光にさえぎられて視認不能となるし、暗い場所で自分がフラッシュライトを炊けばやはり視認不能となる。
またそもそもレンズが暗いので暗所での照準はちょっと厳しい(ターゲットが見えないことも)
シージの状況で言えば、晴れた日中の防衛側で窓を狙うのは厳しいし、夜間に攻撃側が明るい室内をポイントするのも難しいのだ。
レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)

とはいえ、その軽量さ、物理的な信頼性の高さからハンドガンへの搭載や、ショットガンへの搭載、望遠スコープと併用した近距離のバックアップ用に威力を発揮
レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)
レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)

最後に、ここに面白い刻印が入っている。
「RM05」刻印の隣、「1TH5:5」とあるが、これは聖書の一節を示している。
トリジコンの製品にはだいたいこの聖書の一節の、「光」に絡めた刻印が入っている。
トリジコン社独自のレティクル発光システムに絡めた物だといわれている。
これの場合は「テサロニケの信徒への第一の手紙 第5章 第5節」

『あなたがたはみな光の子であり、昼の子なのである。わたしたちは、夜の者でも闇の者でもない』
レインボーシックスシージ、光学機器について(Trijicon RMR)

この聖書刻印は敬虔なキリスト教徒であったトリジコン創業者のグリン・ビンドンが自分の趣味で入れ始めた物だが、軍納入モデルのACOGでは中東との宗教問題にまで発展した。(詳しくはACOG紹介記事で)
トリジコンのロゴマークの三角形は水素が三角形に結びついたトリチウムの形を模しているのだろうが、聖なる三位一体をビンドン氏が連想したかは知る由もない。
実際には、夜間にも使えるように作られているし、夜間におけるナイトビジョンとRM05搭載ハンドガンとの相乗効果は絶大だ。(やはりこれまた今度書きます)
シージのゲーム内のように単体でプライマリーウェポンに取り付けるようなサイトではないけど、ショットガンとかには似合うと思います(適当)



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Posted by 古屋  at 12:00 │Comments(0)ドットサイトとか

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